里山をもっと楽しく1(森の健康診断)

行 事 名 里山をもっと楽しく 1回目「プログラム研究 森の健康診断」
実施団体名 主催   中信地区環境教育ネットワーク(eeネット)

共催   四賀林研

協力  森の健康診断出前隊

    特定非営利活動法人森倶楽部21

    寿さと山くらぶ

参加者

参加人数

森林学習の指導者、学校関係者  24人
主催者 中信地区環境教育ネットワーク
実施日(期間) H30年5月26日(土)9:00~16:00
プログラム提供者 森の健康診断出前隊 http://school.mori-gis.org/
実施概要 1.「森の健康診断と空開け」プログラム体験 (9:00~12:00)

ヒノキの人工林の簡単な調査、分析

空開け体験(手ノコによる伐倒 3本)

2.授業展開の検討 (13:00~15:00)

学校環境学習プログラムとしての展開の可能性、手法の工夫、質疑応答等

実施状況  

紙芝居で森整備のことや、危険防止の注意を聞きます。

演習の森はヒノキの人工林  空はほとんど見えず、林床は暗い

木の太さを図ります 中央が中心木(育てる木)です

伐採する木を選び伐倒 のこぎりで受け口を切ります

午後の意見交換会の様子

 

実施状況 午後の意見交換で出た感想、意見、応答

 

 【演習を行なったフィールド(会田中学校裏 ヒノキの人工林)について】

・普通、ヒノキ・スギの人工林はもっと密埴している。間伐をした様子も無いが樹間が広い。

・最初から間隔を開けて植林したのか? そのために枝が広がり、森が暗くなったか?

・クヌギ等が成長して空を覆っているところもある。

・年輪の割に樹高が低い。なぜか?

・木を切ってみたところ年輪の幅にかなり変化があり、中が腐っているところもあった。

・腐食層は結構厚くそれほど痩せているとも思えない。何が成長を阻んでいるのか?

・粘土質で水分が多かった。根の張りが弱く窒息気味か?

・人工林としてはかなり例外的な要素が見られるため、人工林調査として子どもに体験させるには不向き。

・難しい森だったが演習の材料としては良かった。皆で議論ができる森だった。

 

【学習プログラム「子どもの森の健康診断」について】

・とにかくわかりやすかった。今まで体験したよりあっさりしていて初めての体験者でもわかりやすい。森を知る入口として大人にも使える。

・大人向けの森の健康診断はsin,cos,tanみたいな数式があってやたら難しかったが、「子どもの森の健康診断」は挿し絵も一目瞭然、子ども向けにずいぶんわかり易くしたと感じた。

森の健康診断、始めは矢作川流域の実態調査から始まった。なので、研究者が使える数字を集め、社会に警告を発するのが目的だった。一方で子どもの森の健康診断は、子ども達に何を感じて何を考えてもらいたいかを目的に作られている。なので、教えるというより、感覚に訴えて、考えたり感じたりしてもらうプログラムになっている。

・出前隊学校出前チームは、月に1回10時~15時まで集まってプログラムの検討をしている。

・目測で樹高を測って当てるのは盛り上がった。木の高さがこんなに簡単に測れるとは思わなかった。切り倒してから実際に測ったら2センチしか違わなかった。

・事前にかなり準備されているなと感じた。安全にスムーズに学習を進めるには事前準備をしっかりしなければと思った。

・道具類が充実している。牽引ロープやレーザーポインターなど、優れ物がたくさんあった。どんな経路で入手しているのか? 手に入るか?

・八ヶ岳の森は単純林ではない。このプログラムをどう利用するか?

 

【安全対策について】

・適正人数で行うということが大事。

・出前隊では、小学5年生6人に対して、2人の講師がついて実施する。

・講師1人に対して小学生5人だとちょっと目が離れてしまうという感じがする。

・安全を取れば講師の人数が揃わないということでジレンマある。

・地域の人や公民館、行政を巻き込むとスタッフを出してもらえる。作業については私たちが担当し、引率や、見守りはお願いする。(子ども2~3名に大人1人)

・事前学習で危険なこと、やってはいけないことについては周知する。

・出前隊には森の健康診断安全マニュアルがある。

・学校は1回でもケガ人が出ると次からは二の足を踏む。

・まだまだ検討の余地のある課題。

 

実施状況  

【子どもを森につれて行くには? きっかけ、費用】

・入り口は広く浅くでもいい。山へ行けば花がある、チョウがいるということを、親の世代はやってこなかった。そこから入ればいい。

・学校の子ども達を山につれて行く時にはあまり難しいことはやっていない。生物を見つけたり、山菜を取ったり、山は楽しいという印象を持って帰ってもらえるようにしている。

・学有林を持っている学校は多いが場所が離れている。どうやって連れて行く?

・松本市では市のバスを借りたりしていたが、これが使えなくなりそうなので、次年度は学校から緑の少年団の助成に応募してもらってそれで賄う方法で進めている。バス代全額は出なくても無いよりはまし。

・先生方になかなか関心を持ってもらえない。

・教員研修などでプログラムを紹介すると、参加した先生が学校に呼んでくれることがある。

・熱心な先生に当たるとそこから広がりが出る。

・まず学校にこちらの思いを伝える。

・地域や公民館にも「地域の森を守りたい、子ども達に伝えたい」という思いを伝える。地域や行政が動いて、その人たちの応援があることが分かると、学校も「それなら」と動く場合がある。

・恵那のほうの小学校で森の健康診断を10年続けている学校がある。そこには学校林があり、学校林を守ろうとする地域がある。

・学校が参加しやすい機会、環境を整えることが大事。

 

【山の活動を継続するポイントは?】

・NPOの課題は人、物、金、情報。その中で一番大事なのは「情報」。情報があると解決策が見つかる。その「情報」とはこういう場だと思う。関係者が集まって定期的に情報交換するということがとても大事。

・豊田市が合併で広がった時、森林課ができて森林学校ボランティア養成講座というのができた。毎年の卒業生がそれぞれにグループを作り、普段は山の間伐や木工などそれぞれが好きな活動を行っている。それらが緩やかにつながって矢作川水系森林ボランティア協議会というのができている。森の健康診断出前隊はここから生まれた。

・森の活動に参加する人の高齢化が進んでいる。若者の参加を誘うには?

こちらでは若者の参加が増えている。地域の企業ではメンタルを病む社員が多い。それと関係があるのかもしれない。都会では解決できないことが山や自然と関わることで解決法が見つかるのかも。会社の協力もある。

・森離れが進んでいて待った無し。子どもより大人が急務ではないか。

祖父世代は山のことを知っている。親世代は知らない。子どもに森のことを伝えることで、祖父世代が山のことを話し出す。

林業はもともと孫の世代のことを考えて行うもの。祖父世代が残っている今が大事。今を逃しては手遅れになる。次に伝える者がいなくなる。

・大人への対策は?

・山の整備の仕方も木の売り方も分からず困っている山主さんは沢山いる。そんな山主さんを応援しようということで山造り研究所という事業を始めた。一緒にやる覚悟のある山主さんがいれば、山主さんと山に入って整備をし、技術を伝える。

・森林税によって山を整備する人と放棄する人に分かれてしまうのでは?

・市町村が山を買い上げても山が荒れている状態に代わりは無い。森の再生につながるとは思えない。

 

全体について  記 入 者 eeネット事務局 中林
 

1 演習を通しての参加者の反応、感想等(参加者アンケートから)

質問1.本日の森林学習プログラム体験・意見交換会の感想を教えて下さい

・役に立った 91%

・まあまあ役にたった 9%

・役に立たなかった 0%

質問2.どの部分が参考になりましたか?(複数回答)

・意見交換会 91%

・体験プログラムの内容 64%

・資材・教材 45%

・安全確認の方法 27%

具体的には

・いろいろな悩みや苦悩が共有できて良いアドバイスももらえた。

・課題がよく見えてきた。

・自分が持っていた意見が支持されたり否定されたりする経験ができて良い。

・子ども向けによく研究されている

・どのように子ども達を森につれていくか、他の団体の方法などをお聞きして大変参考になった。

・森林教育をするための人、物、金、情報の集め方

・すべてに分かりやすかった。

・ネットワーク、情熱のある教師との出会い。

・木を切るための安全確認、レーザーポインター、木の高さの測り方。

・短縮版「森の健康診断」

質問3.本日のプログラム体験、意見交換から、里山の環境学習を広めるために、何が必要だと思いましたか?

具体的には

・横のつながり。

・取り組みの情報共有、双方の状況の理解、課題解決に向かって協議。

・関係性の持てる山主さんと具体的に行動することかなと思います。

・いろいろなロケーションを準備できるフィールドをどう探すか。

・各団体の交流会での情報交換が重要と思う。

・定期的に情報交換を図れば良いと思いました。

・適所への熱意あるアプローチかな?

・ネットワークづくり

・人、物、金、情報、人とのつながりが重要!

・伐採方法、「森へ行きましょう」のきっかけ

・情報交換を行うこと。

 

2 主催者の感想

演習に参加したのは、森林学習の指導者たち。主催者の私だけが森の素人でした。

坂道を走らない、ウルシには触らない、マムシはこんな模様・・等々、山での基本的な注意を紙芝居で見るところから始まって、周囲の植物観察、腐植層の厚さを測り、木の混み具合の確認と・・山の見方を順々に教わり、最後は手ノコで間伐。

なるほど、「山と人はこうやって関わるのか」「木が人の生活に役立つためにはこういう作業が必要なんだ」ということが、初めて山に接する人にも分かるプログラムでした。

難しいことが、分かりやすく、シンプルにまとめられており、環境学習プログラムとして優れ物だと思いました。

当日は演習のヒノキ林で木を3本間伐しましたが、10年間毎年同じように間伐を続けていったらこの林はどのように変わるのだろうか、そんな結果も見てみたいなと思いました。