梓川の石を観察して安曇・ 上高地の地質を解き明かそう

授 業 名 梓川の石を観察して安曇・ 上高地の地質を解き明かそう

【「信州環境カレッジ」補助事業】

実施学校名 松本市立安曇小学校
実施学年、学級

参加人数

4・5・6学年 13人
担当者 担任
実施日(期間) 令和6年11月22日
講師名 信州大学名誉教授 原山智
実施概要 1 教室で安曇・上高地の成り立ちについてのお話と花崗岩・菱マンガンの解説
2 学校近くの黒川・梓川での石の観察
実施状況
(授業風景)
1 安曇・上高地の成り立ちと花崗岩や菱マンガンの解説
原山先生より安曇・上高地の成り立ちのお話をしていただいた。日本列島がまだ大陸の一部だった時にできた槍ヶ岳結晶片岩、蝶ケ岳の堆積岩、常念岳や燕岳の花崗岩の解説。そして、安曇地域で筋状に存在するチャートと黒川の菱マンガンについても触れていただいた。花崗岩が大好きな子ども達は、白雲母がキラキラ輝く奈川花崗岩に興味津々。また、ピンクの菱マンガンについては「きれい」と声を上げていた。マンガンの活用についてはその用途について原山先生に宿題をいただいた。事前に黒川と梓川で採取にしておいた花崗岩・チャート・泥岩・菱マンガン・石英などを手に取り、「観察の目」を持ってからフィールドワークへ出発。

2 黒川での石観察
雑炊橋を渡り、夏にリバーアドベンチャーで親水体験をした黒川に向かった。採掘跡と思われる穴の前に立つと索道の一部らしき「U字鋼」があった。その近くで断面がピンク色をした石を見つけ、原山先生に鑑定していただくと菱マンガンであることがわかった。戦後西ドイツへ輸出していたというこのマンガンを大切そうに袋に入れる子ども達。川に流され、丸くなった花崗岩や砂岩、泥岩に対して固いチャートは水流の中でも角張っていた。原山先生は「鉄よりも固い」と話していた。

3 梓川沿いの石を観察
黒川の対岸にある梓川左岸で石の観察。上流に「安曇三ダム」があるため、ここには上高地などの上流部の石は入ってこない。従ってここにある岩石はダム建設以前のものである。それでも原山先生に鑑定していただきながら、白雲母が入った奈川花崗岩、焼岳や乗鞍岳の火山岩、赤チャート、安山岩、玄武岩など様々な石を見つけていた子ども達。「安曇村地質図」に色付けされていた岩石が確かにここ梓川に流れ込んでいることを理解した。

4 まとめの会
原山先生が腰かけているのは旧安曇小中学校の校舎前にあった岩石。浸食されやすいこの岩石は「石灰華」である。白骨温泉にある噴湯丘ではないか。安曇小中学校建設にあたり「地元の石を活用したい」という先人の思いが、この岩石からも伝わってくる。まとめの話の中で原山先生は語った。「石は地球のメモリーです。よく観察すればその土地の成り立ちが見えてきます」。この言葉が子ども達の心に強く響いた。

授業について  記 入 者 担任
1 授業を通しての子どもたちの反応、感想等

黒川では昔、石を採掘していた後にレールが残っていました。そこでピンク色の石(菱マンガン)を拾いました。すごくピンクでびっくりしました。梓川では乗鞍岳や焼岳の火山岩を見つけて、こんな遠くまで来ているんだとわかりました。原山先生が「石は歴史のメモリー」と話していて、石をよく見ると昔の様子がよくわかると思いました。

2 先生方の感想、要望等

子ども達が夏にリバーアドベンチャーをして親しんできた黒川と梓川。今回は石を観察して地形の成り立ちを調べる視点を持って訪れた。教室で学んだことが歴史のメモリーとしてそこにある石は伝えてくれることを実感的に学ぶことができた。マンガンの採掘、ダム建設により先人がこの地を利用してきたことにも目を向けることができた。安曇小の子ども達が学んできた経緯を踏まえながら、目の前の石から想像できる「かつての安曇」を語ってくださった原山先生に深く感謝したい。