冬の上高地散策

授 業 名 冬の上高地散策
実施学校名 松本市立安曇小学校
実施学年、学級

参加人数

5年 8人
担当者 担任
実施日(期間) 令和8年2月26日
講師名 合同会社リトルピークス
実施概要 1 冬の「平らな上高地」に足を踏み入れ、観光シーズンには入れない場所を散策し、美しさや広さを感じ、その場の自然に親しみ、夏場の景色がどのように変化しているのかを実際に見て体感する。
2 特殊な地形が生み出した「水」の存在について追究する。
3 植物や動物が厳しい寒さをどのように乗り切っているのか観察する 。
実施状況
(授業風景)
初めて「冬の上高地」に足を踏み入れ、治山道の手前で車を降りた子ども達は「バス道」を通って徒歩でバスターミナルまで向かった。いきなり目に入ったのは雪崩の痕跡。道中十数カ所あった。小峰氏によると「おそらく昨日起きた雪崩」という。道路にはみ出ている「デブリ」がその生々しさを象徴していた。中には防護柵を突き破って流れ込んでいるデブリを見て雪崩のパワーと怖さを実感した子ども達。かつて 渓谷 だったこの地に雪崩が発生しこの場所で止まるのは上高地が平らだからであることを実感 的に もって学んだ子ども達だった。

これまで何度も上高地を訪れた子ども達だったがバス道を徒歩で歩くのは初めてだった。車で は 感じなかった緩やかな傾斜が足に負荷 がかかっていることを体感 。ゆるやかな扇状地のアップダウン を 歩くことで実感することができた。道中に湧き水があるのはそこが扇端部であるから、せり出してくる岩盤はかつて渓谷だった上高地の尾根部分にあたることを学びながら、白谷山噴火による「古上高地」の存在を想起する子ども達。今歩いている数百メートル下にかつての渓谷の底があることを想像してみた。また、道路中央の人が行き交う雪面は固くなっているが少し左右を歩くと雪を踏み抜いてしまうことも知った。人が歩くことで雪は「圧密・凝
結・沈降」し、 固くしっかりした雪になることを教えていただいた。この日は気温が高く、午後はザラメ状態の雪に 変わっていった。

焼岳をバックに記念撮影。わずかに噴煙が出ているのが目視できた。現在噴火警戒レベル2で半径1kmの入山が規制されている。小峰氏によると焼岳は三つの沢から構成されているという。東日本大震災時にはここで山鳴りがしたらしい。大正池を出現させたこの山。 子ども達は昨年度 から この焼岳に登 って 平らな上高地を南から俯瞰したい という願いを持っている。 昨年同様に噴火警戒 レベルが下がることを願う。

圧巻の穂高連峰をバックに河童橋から手を振る子ども達。川には重機が何台もあり、梓川や支流の流路を変える工事をし ていた。このようにして「平らな上高地」は人の手によって維持されていることを再認識した。しかし、「自然の力は人の手を加えても元に戻してしまう」という小峰氏の話 。 昨年度信州大学原山智名誉教授が語った「何もしなければ2~300年後に上高地は元のV字谷に戻ってしまう」という話がつながった。これから人はどのように上高地とかかわっていけばいいのか、難しく重要な問題に直面した。

上高地に訪れると必ず立ち寄る清水川の水に触れ、ペットボトルに水を汲んだ子ども達。冬なのに流量は夏と変わらないように見えた。水温もあまり変わっていないように見えた。 ふと見ると枝にバイカモが吊り下がっていた。想像する子ども達。
「サルの仕業かな」「うーん、雪の重みで枝が川に入って、雪が解けたらバイカモを引っかけて元にもどったのかも」 と 小さな現象にも想像力を膨らませることができるのもこうした自然散策の魅力だ。最後に道路脇にある「雪庇」に登る競争をした。もがいてももがいても登れない子ども達。楽々と登った小峰氏から「雪を落として足場にし、雪庇に手 を突っ込んで体を持ち上げると登れるよ」とアドバイスをもらった。コツをつかんだ子から登り始めることができた。登山技術の一つも学ぶことができた。

授業について  記 入 者 担任
1 授業を通しての子どもたちの反応、感想等

冬の上高地も絶景でした。夏に見る景色と違ってワクワクしました。雪がついているせいかいつもより穂高連峰が大きく見えてびっくりしました。雪崩にも全層や表層などいろいろな種類があることがわかりました。デブリを見て雪崩の迫力が想像できました。 サルなどは冬の寒さに負けずに生き延びていることがわかりました。雪の壁を登った時、しっかり固めたら自分の体重をしっかり支えることできてすごいと思いました。来年は焼岳に登りたいと思います。

2 先生方の感想、要望等

今年度は 。 自然公園財団上高地支部の方とのフィールドイワークで「 平らな上高地を維持管理している現場」を見学し、西穂丸山で「平らな上高地」を俯瞰した子ども達。 学校花壇に「上高地リアルジオラマ」を製作し、地形の変化を経過観察し 、カルデラ噴火実験や槍ヶ岳再現のための氷河実験を行ってきた子ども達。今回初めて冬の上高地に出向いてフィールドワークを行った。小峰氏の案内で「雪」への見方・考え方大きく変わった。雪崩のパワーと怖さ、雪の性質、その中で人は何をす べ きか体験を伴って学ぶことができた。また、スノーシーズンだからこそ見やすくなる 地形の様子、そしてそこにいる生き物の営みも感じることができた。教室では絶対に学ぶことができない大自然と向き合う学びをすることができた子ども達は、さらに次への追究とながっていくと思われる。なかなか立ち入ることができない「冬の平らな上高地」で学ぶ機会をくださった小峰氏を始め、関係機関の方に心より感謝したい。